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FinTech news

FinTech、とくに資産運用系のスタートアップサービスを中心に紹介します。

ディープ・ラーニングを活用したアルゴリズム投資のキャピタリコ

以前当ブログでも紹介した、ディープ・ラーニングを利用した画像認識からトレーディングにピボットしたAlpacaのサービス、"Capitalico" が本日ローンチしたそうです。

jp.techcrunch.com

以前の記事はこちら。いずれもTechcrunchの記事です。

fintech.hatenablog.jp

いわゆるテクニカルトレードのアルゴリズムスマホ上で作成・バックテストできるサービスです。対象資産は現在はFXのみで、近いうちに株式にも拡大する予定。深層学習がどのように使われているのかは不明です。単純なニューラルネットワークかもしれません。

現時点では多くの投資家がすぐに恩恵を受けられるサービスではないと思われますが、記事中のCEOへのインタビューによると、このプラットフォームを育てて、アルゴリズムを提供する側と利用する側のマーケットプレイスを作りたいという展望があるようです。

AIを用いたコンテンツ・フィルタリングを提供するSelerity

Selerityは、機械学習を用いてWeb上のコンテンツをフィルタリング・推薦するテクノロジーを提供するスタートアップ。拠点はニューヨークです。今回、シティグループ等から$4.2mの資金調達をしたことが報じられました。

www.seleritycorp.com

もともとは機関投資家個人投資家向けにニュースサイトからBreaking Newsをリアルタイムで検索するサービスを提供していたSelerity。そこから派生して、Selerity Contextという"the industry's contexual content recommendation service"を提供しています。

これは例えば、以前当ブログでもご紹介したSymphonyというメッセージングサービスと協働し、Symphonyのチャット上である株式の銘柄名が出てきたら、自動的にその企業に関するニュースやツイートを検索し、Sympthonyの画面上に表示するサービスです。

Web上に情報が溢れる時代に情報をフィルタリングするサービスは大きなニーズがあります。機械学習を用いてコンテンツの推薦の精度を高めていくことによりユーザーの利便性を向上していくものと思われます。

日本IBMがFinTech共通APIの提供を開始

APIの提供は、Fintechサービスの開発・普及を一気に後押しする動きです。

今回は日本IBMAPI提供開始のニュース。

www.atmarkit.co.jp

APIの利用の例で考えられるのは、銀行口座残高の提供。

MoneyForwardやMoneyTree等のアカウント・アグリゲーションサービスは、現在はスクレイピングという技術を使って銀行残高情報を画面から取得しています。画面デザインが変わるごとにプログラムの変更が必要になります。

銀行がAPIにより口座残高情報を提供できるようになれば、Fintechサービスは統一したインタフェースで各銀行の残高を取得することができます。セキュリティも向上すると期待できます。

当ブログでの関連記事はこちら。

fintech.hatenablog.jp

 

人工知能が人間に「買い」を指示するAI金融時代の到来 - WIRED

AI(人工知能)と投資についてのWIREDの記事をご紹介。

wired.jp

クオンツモデルに基づいて、コンピュータが売買を決定する運用戦略は昔からあるし珍しくもありません。

記事によると、新しいタイプのAIヘッジファンド

  • ベイジアンネットワーク
  • 進化的計算 (Evolutionary Computation)
  • ディープラーニング

といった近年進化が著しい機械学習のテクノロジーを用いて、AIが自分自身のモデルに改良を行っていくタイプであるとしています。これらはHFT(High-Frequency Trade, 高頻度取引)のようなコンピュータ自動取引によるフロントランニングにより鞘取りをする戦略とも異なり、数時間、数日間、数週間あるいは数ヶ月間にわたる収益を追求する、としています。

将来AIがファンドマネージャーを完全に置き換えることになるとは思えませんが、AIの投資への活用はまだ始まったばかり。これからブレイクスルーが起こっていくことでしょう。

お金のデザインがロボ・アドバイザーサービス THEO[テオ] を本格開始

株式会社お金のデザインが、ロボ・アドバイザーサービスを本格開始しました。

theo.blue

投資一任で海外ETFポートフォリオを作成、自動リバランスしてくれるサービスです。スマホでいくつか簡単な質問に答えるだけでユーザーのリスク許容度を判定、それに合ったポートフォリオを提案してくれます。信託報酬は1%。これが最初の1年は月500円となるキャンペーン中。

当ブログでも指摘してきたように、ロボ・アドバイザーサービスへの疑問点はいろいろあります。

・1%の報酬率に見合うサービスなのか?「これまで一部の富裕層や機関投資家だけが享受してきたプロの資産運用」を低コストで提供というが、中身はパッシブ運用ETFへの分散投資であり、どのオンライン証券会社でも低コストで買えるもの。ヘッジファンドやPEなど、超富裕層や機関投資家だけが投資できる資産クラスにアクセスができるようなサービスではない。

・ユーザー対していくつか質問をしてリスク許容度をランク付けするのだが、個々人のキャッシュフローニーズ(家を買いたい、教育資金が必要、など)や現在の資産状況などを考慮した、よりカスタマイズしたアドバイスにはなっていない。

・作成されるETFポートフォリオはスタンダードなもの。個人投資家にとっては、VT(バンガード・トータル・マーケットETF)とキャッシュの比率を調整するだけでも十分なのではないか。

100億資産を集めて売上1億ですから、ブレイクイーブンに持って行くにはかなりの資産規模が必要になりますし、今後競合も増えて報酬率も米国レベルの0.25%に向けて下がっていくことが予想されます。

が、現在金融機関が提供しているラップ口座のサービスに比べれば、低コストで分散投資ができるサービスの選択肢が個人投資家に用意されたことは喜ばしいことです。お金のデザインにはトップランナーとしてがんばってほしいですね。

低コストでテーマ型投資を提供するMotif Investing

ちょっと変わり種の資産運用Fintechスタートアップを紹介します。シリコンバレーのMotif Investing。

www.motifinvesting.com

Motif Investing は "Online Brokerage & Investmen Ideas" ということで、株式やETFが購入できるオンライン証券会社ですが、テーマ型ポートフォリオを安価に提供しているのがユニークな点です。

提供するテーマ型ポートフォリオは "motif"(日本語の「モチーフ」)と呼ばれ、"Shale Gas" "Biotech" "Obamacare"などの投資テーマごとのmotifが登録されています。それぞれのmotifには30銘柄までの株式とETFが登録されています。

ちなみに過去1ヶ月リターンが一番いいmotifは "Bear International Market"。中身は中国、ブラジル、欧州、新興国のベアETFからなるポートフォリオで、下げ相場の中+31%というリターンをあげています。

motifを購入する際に$9.95の手数料がかかります。他のオンラインブローカーで個別に株式やETFを購入するよりも手数料レベルは安いですね。

面白いことに、ユーザーは自分のオリジナルのmotifを登録することができ、他のユーザーがそのmotifを購入するごとに、$1のクレジットがもらえるそうです。20万ユーザーが、18万以上のmotifを登録しているそうです。

ロボ・アドバイザー大手のWealthfrontやBettermentが提供する分散されたポートフォリオは万人の資産形成に役立つものですが、そうしたETFポートフォリオに投資するだけでは退屈で、自分の興味のあるテーマや株式に投資したいという人はいるはずです。Motif Investingはそうした投資家に低コストでテーマ型ポートフォリオを提供し、また投資家が自らmotifを登録しクレジットを受け取ることができる仕組みによって、投資家コミュニティを形成しようとしています。

テーマ型投資はメインストリームには成り得ないですが、面白いFintechビジネスなのではないでしょうか。Motif Investing社としては$9.95のブローカー手数料だけで黒字にもっていくのは難しいと思いますが、ユーザーの登録するmotifなど、コミュニティの部分でマネタイズする仕組みが作れると面白いのではと思います。

ロボ・アドバイザーの明るくない未来

ふたたび、ロボ・アドバイザーに関する日経の記事。

www.nikkei.com

今回の記事ではお金のデザインとGMOクリック証券の提携、新スタートアップのフォリオマネックス・セゾン・バンガード投資顧問の3つが紹介されています。ロボ・アドバイザーへの参入が増えてきています。

当ブログでもたびたび指摘していますが、ロボ・アドバイザーは日本での潜在的な市場規模は大きいものの、今後は手数料引き下げ競争が避けられず、ロボ・アドバイザーサービス単体で損益分岐点を超えるサービスが出てくることは考えにくいのではないでしょうか。

現在のロボ・アドバイザーが提供するサービスは、おおむね

  • 投資家の年齢・収入などのいくつかの質問をしてリスク許容度をランクづけする
  • それぞれのランクに対するモデルポートフォリオを提案し、ETFによる投資サービスにつなげる

というもので、提供するのに高度な投資運用ノウハウやテクノロジーが必要なものではありません。ロボ・アドバイザーを使ってみようと思うようなIT・金融リテラシーのある投資家層ならばちょっと勉強すれば自前でできる投資手法です。

このレベルのロボ・アドバイザーサービスは、手数料引き下げ競争の末、いずれは大手金融機関が無料で提供するサービスに収斂するのではないかと思います。その未来を予感させる関連記事はこちら。

自前でやるのは手間がかかるor難しい投資手法を提供するサービスであれば、フィーを払って利用する価値があるのではないかと思います。アメリカのロボ・アドバイザーが提供するタックス・ロス・セリングや自動リバランスもその一つかもしれませんが、ちょっと力不足の印象。どのようなサービスであれば差別化できるのか、各社頭を悩ませているのではないかと思われます。