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日米の投信売れ筋の比較 ~日経より

FinTechの記事ではありませんが、日米の投信市場の違いをクリアに示した記事が日経電子版に出ていたのでご紹介します。

 

www.nikkei.com

 

記事中の下記の日米売れ筋比較テーブルがよくできています。

 

http://www.nikkei.com/dx/content/pic/20150530/96958A9F889DEAE5E0EBE5EAE3E2E0E4E2E7E0E2E3E7EBE6E79FE2E3-DSXMZO8733708027052015000001-PN1-5.jpg

米国では低コスト(信託報酬0.20%前後)のインデックス投信が長年の定番になっているのに対し、日本では報酬1.5%以上の高コストのアクティブ投信が、REIT、低格付け債などその時々のテーマによって買われているのがよくわかります。

先日の記事でもご紹介したように、米国ではIFA(独立系フィナンシャル・アドバイザー)が投信の銘柄選びをアドバイスし、IFAは信託報酬の一部ではなく預かり資産に応じた割合で報酬を受け取っているという背景があります。このため、売買手数料や信託報酬が高い金融商品をクライアントに買わせようという動機が働きにくくなります。

対して日本では、投信の銘柄選びは販売会社である証券会社や銀行の営業マンがアドバイスしており、彼らは売買手数料や信託報酬の一部を報酬として受け取るため、コストが高い金融商品を売るほうが儲かる、という事情があります。低コストのインデックス投信を売ろうという動機は働きにくくなります。

個人投資家にとって日米どちらの状況がいいかは明らかです。もし仮に投信が同じ成績だった場合、コストの低い投信のほうが最終的な運用成績が良くなるのは明らかだからです。下のグラフを見ればわかるように、その差は投資期間が長くなればなるほど大きくなります。

http://www.nikkei.com/dx/content/pic/20150530/96958A9F889DEAE5E0EBE5EAE3E2E0E4E2E7E0E2E3E7EBE6E79FE2E3-DSXMZO8733712027052015000001-PN1-5.jpg

 

ファンドの売り手(販売会社)と投資家の利害が一致していないという日本の投信業界。テクノロジーを用いてこの歪んだ業界を公正化するFinTechサービスが登場することを期待したいところです。