FinTech news

FinTech、とくに資産運用系のスタートアップサービスを中心に紹介します。

米証券会社の対面営業手法「ゴールベース資産管理」

山崎 元さんが、ダイヤモンド・オンラインでラップ口座についての記事を書いています。

diamond.jp

米国において、メリルリンチモルガン・スタンレー等の大手証券会社が個人顧客向けサービスを提供する際の対面型営業で、「ゴールベース資産管理」がキーワードになりつつあるということです。

「ゴールベース資産管理」はその名の通り、顧客の人生のゴールを意識した資産管理サービスのことです。「人生のゴールとは、退職時の資産残高目標といった狭義の金融的ゴールではなく、子や孫の教育、社会貢献、死後の遺族の生活など、将来目指す姿を広く含む具体的な目標のことだ。」ということで、ていねいに顧客の人生相談に乗りつつラップ口座で資産運用サービスを提供するアプローチです。

単なる資産運用アドバイスならば、当ブログでも紹介しているBetterment等のFinTechロボ・アドバイザーが格段に安いコストで同じサービスを提供しはじめているため、大手証券会社の対面型営業手法はじわじわとシェアを明け渡していくことが予想されます。よって、機械にはできない、対面型営業ならではのアプローチに舵を切っていくという流れで「ゴールベース資産管理」を唱えているのでしょう。

以前より超富裕層向けのプライベート・バンキングは、資産運用以外のサービス、例えば事業承継のサポート、税務、寄附ならびに社会貢献、あるいは子息の留学先の相談まで、幅広い相談に応えることで顧客の信頼を得て預かり資産を確保するサービスモデルです。「ゴールベース資産管理」もこれに近いものですが、富裕層でないマス層にそこまでサービスの手間をかけられないので、あくまで限定的なメニューに沿った低付加価値のサービスとなると予想されます。

さて山崎さんも記事中で書かれているとおり、この「ゴールベース資産管理」は日本でも流行ると思われます。証券・銀行各社が「ラップ口座」の獲得に躍起になる中、高齢者層を中心としたコストに無頓着な顧客層には「人生相談つきラップ口座」は受けが良さそうです。

FinTechビジネスの視点からいうと「Betterment」「お金のデザイン」等のロボ・アドバイザーから見るとライバルとなる動きです。が、お金を中心とした人生相談ができるようなサービスを、テクノロジーを用いて提供するFinTechサービスも登場するのではないでしょうか?注目して見ていきたいと思います。