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FinTech、とくに資産運用系のスタートアップサービスを中心に紹介します。

みずほ銀行のロボ・アドバイザーが結構すごい。専業他社は大丈夫?

以前に当ブログでも紹介したみずほ銀行のロボ・アドバイザーサービス。(10月の記事はこちら) 

fintech.hatenablog.jp

サービス開始したようなので試してみましたが、思った以上にイケています。

サービス名はSMARTFOLIO(スマートフォリオ)です。

apl.morningstar.co.jp

「わずか2分程度の無料・簡単診断」で「お客様に応じた投信ポートフォリオをご提案」という宣伝文句に偽りはなく、年齢・投資目的・リスク許容度などの簡単な質問に答えるだけで、2分もかからず投資信託での国際分散ポートフォリオを提案してくれます。

出てくるポートフォリオは、国内債券・海外債券・国内株式・海外株式・国内REIT・海外REITからなるオーソドックスなもの。最もリスク許容度が高いポートフォリオでも新興国株式は入ってこないようです。

中身の投信は、i-mizuhoシリーズというインデックスファンドファミリーで、インデックス運用で世界をリードするブラックロックがみずほ向けに運用する低コスト投信。外国株式ファンドで信託報酬は約0.6%で、海外ETFに比べれば最安とはいきませんが、十分低コストの部類に入ります。販売手数料もゼロです。

ポートフォリオ提案の後は、みずほダイレクトの契約が済んでいる投資家については、同じ画面からボタンクリックだけで投信の購入に進むことができます。

 

投資家にとって低コストで利便性が高く国際分散投資を実現できるサービスということで、歓迎したいと思います。

このサービスが無料で提供されることは、お金のデザイン・Wealthnaviなどロボ・アドバイザー専業スタートアップにとっては、大きな脅威でしょう。アドバイスの中身(提案ポートフォリオ)に大差はありませんし、専業ロボ・アドバイザーが持つアドバンテージは、投資の対象がより低コストな海外ETFであることくらい。ですが、お金のデザイン・Wealthnaviが1%の信託報酬を取るのに対し、みずほ銀行のスマートフォリオのサービスは無料です。これで国内投信と海外ETFのコスト差など吹っ飛んでお釣りがきます。あとは自動リバランスのサービスくらいでしょうが、それもみずほはすぐに提供できるものです。

こうしたサービスのアーリーアダプターであろう若年層にとって、これまでは「銀行で投資する」のはタブーで、ネット証券会社で投資している投資家が多いと思います。銀行には高コストの投信しかないし、販売手数料もたっぷりと取られる。が、i-mizuhoシリーズなど低コスト・販売手数料ゼロのファンドポートフォリオを組め、しかも普段使いのメガバンクの口座で資産運用ができるとなると、わざわざ専業ロボ・アドバイザーのサービスを使う必要はないかもしれません。しかもメガバンクのほうが総コストも安いとなればなおさらです。

ロボ・アドバイザーサービスは価格競争に巻き込まれることは避けられません。前回の米Wealthfrontのサービス解説記事(下)でも紹介したように、米国ロボ・アドバイザーはTax Loss Harvestingなどの付随サービスで付加価値を提供しようとしています。和製ロボ・アドバイザーも、差別化できるサービスを打ち出していけるかに注目したいと思います。

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