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FinTech、とくに資産運用系のスタートアップサービスを中心に紹介します。

アメリカにおける世代別資産運用動向

TechCrunchに、アメリカにおけるベビーブーマー、ジェネレーションX、ミレニアル世代の三世代ごとに資産運用の状況を分析した記事が載っていました。

アメリカの動向ではありますが、日本における示唆も感じられるのでご紹介します。

techcrunch.com

 

記事内容のまとめ

ベビーブーマー(1946-1964生まれ、別名ソーシャルセキュリティ世代)

  • 米国ソーシャルセキュリティ(社会保障)制度とともに成長し、制度にある程度信頼を置き、リタイア後の収入もこれに依存するつもりで現役世代を過ごししてきた。
  • ソーシャルセキュリティ(社会保障)制度は、世代間扶養を前提として設計された制度。
  • 65歳でリタイアを夢見てきたが、社会保障制度ではそれが実現できない現実に直面し、リタイアを延長せざるを得ない。慌てて資産運用に走る例も見られる。
  • 不動産を所有することが人生の一つのステップ。

 

ジェネレーションX(1965-1978生まれ、別名401k世代)

  • ソーシャルセキュリティ制度に疑問を持ち始めた世代。また、勤務先が401kを導入し始めた世代。
  • リタイアに向けた資産形成の中心には401kがあり、独立系ファイナンシャル・アドバイザーのサービスを受ける者も多い。
  • テクノロジーと無縁ではないが、資産運用においてフィンテックを活用することには積極的ではない。
  • 2008年以降の不動産バブル崩壊を受け、居住用不動産の所有にはこだわりが薄い。投資用不動産の保有には積極的。

 

ミレニアル(1979-1996生まれ、別名イノベーション世代)

  • デジタルネイティブ、インターネットネイティブであり、変化に対して柔軟。情報リテラシーも高い。
  • 資産形成については上の2つの世代よりも意識が高く、資産運用を始める年齢も早い。
  • 資産形成においては401kも使うが、Wealthfront, Betterment, Acorn等のフィンテックサービスも利用する。

日本では?

米国での状況と似ている部分と似ていない部分がありそうです。

日本では年金など社会保障制度の改革が進まず、負担は次世代に先送りされています。このおかげで団塊の世代は、米国ベビーブーマー世代と同様に老後を年金に依存していますが、米国とちがってこの世代は逃げ切りが可能です。

団塊ジュニア(ジェネレーションX)は社会保障制度の持続可能性に疑問を持ち、自分たちの老後には年金では十分ではないと感じているのは米国と同じ。ですが、401kが浸透しておらず、フィナンシャルアドバイザーを用いた資産形成もできていない、という点で日本はアメリカの20年遅れを取っているのではないでしょうか。

Fintechを用いて、日本の団塊ジュニアやそれ以下の世代の資産形成に役立つサービスが提供されることを期待したいところです。