英国発Moneyboxは「おつり貯金」で投資を実現
ロンドン発のFinTechアプリ「Moneybox」。
クレジットカード・デビットカードの買い物の端数を自動で投資用口座に移動、後日まとめて投資に回されるサービスです。
例えばデビットカードで 1.8ポンドの買い物をしたら、カードからは2.0ポンド引き落とされ、端数の0.2ポンドが投資用口座に貯まっていく。たまったお金は1週間に1度ファンドに投資される、というサービスです。投資先ポートフォリオは、リスクレベルごとに"cautious" "balanced" "adventurous" の3つとシンプルな構成。税制優遇がある英国ISA口座での投資となります。
テクノロジーの力によって、若年層が、少額からの積立投資によって将来に備えることができるサービスです。
同様のサービスの例は、アメリカで先行しているAcorns。
また先日紹介した日本でサービス開始を予定しているfinbeeは貯金サービスですが、おそらくMoneyboxやAcornsのように投資につなげることも視野に入っていることでしょう。
これぞFinTech。ネストエッグの自動貯金サービスfinbee(フィンビー)
FinTechスタートアップのインフキュリオン傘下のネストエッグが、銀行APIを活用した自動貯金アプリを発表しました。
住信SBIネット銀行からサービス開始予定。普通預金口座に紐付いた貯金用口座に、アプリを使って設定したルールに従って自動的に貯金をするサービスです。「500円貯金」の自動・電子化といえるでしょう。
これまで銀行が提供していなかったサービスを、Fintech企業が銀行APIを活用することにより新しく預金者に提供できるということで、これぞFintechといえるサービスではないでしょうか。
以前に当サイトでご紹介した米国のAcornとも通じるものがあります。
Fintechがバズワード化する中、本当にユーザーに新しい価値を提供できているサービスがどれだけあるかは疑問です。その中で銀行APIを活用することにより、今まで存在しなかったサービスをFintechスタートアップが提供することが可能になるという一つの例ではないでしょうか。
テーマ型投資スタートアップのFolio
AIのインパクトとファイナンスの未来 - IIFレポート
AI(人工知能)の金融ビジネスに対するインパクトについて、IIF(Institute of International Finance)がレポートを発行しました。
レポートの概要を1枚にまとめたインフォグラフィックはこちら。
コンピューティングパワーの低コスト化、ビッグデータの蓄積、Tech Giantによる開発競争などを背景に、AIは飛躍的な進化を遂げています。そして金融ビジネスもAIによって変革していく、という内容です。
金融のどの分野でAIが活かされようとしているか、いくつか実例が挙げられています。
レポーティング
自然言語生成アルゴリズムを用いて、データから文章を自動生成するサービス。当ブログでも紹介したNarrative Scienceのほかに、フランスベースのYseopが紹介されていました。
投資意思決定
投資マネジメントプラットフォームのAddepar、Sentient Technologies、ゴールドマンも出資したデータ分析サービスKensho、AIを全面に押し出した運用機関である香港のAidyia が挙げられていました。
対話エージェント
ボットが注目を集めているように、顧客とのインタフェースを対話エージェントにより実現する分野も期待されています。Kasisto、IPsoftが紹介されていました。
Regtech(コンプライアンス分野によるAI活用)
不正検知などコンプライアンス分野におけるAI活用の例としては、LucidとFeedzaiが挙げられていました。
アメリカにおける世代別資産運用動向
TechCrunchに、アメリカにおけるベビーブーマー、ジェネレーションX、ミレニアル世代の三世代ごとに資産運用の状況を分析した記事が載っていました。
アメリカの動向ではありますが、日本における示唆も感じられるのでご紹介します。
記事内容のまとめ
ベビーブーマー(1946-1964生まれ、別名ソーシャルセキュリティ世代)
- 米国ソーシャルセキュリティ(社会保障)制度とともに成長し、制度にある程度信頼を置き、リタイア後の収入もこれに依存するつもりで現役世代を過ごししてきた。
- ソーシャルセキュリティ(社会保障)制度は、世代間扶養を前提として設計された制度。
- 65歳でリタイアを夢見てきたが、社会保障制度ではそれが実現できない現実に直面し、リタイアを延長せざるを得ない。慌てて資産運用に走る例も見られる。
- 不動産を所有することが人生の一つのステップ。
ジェネレーションX(1965-1978生まれ、別名401k世代)
- ソーシャルセキュリティ制度に疑問を持ち始めた世代。また、勤務先が401kを導入し始めた世代。
- リタイアに向けた資産形成の中心には401kがあり、独立系ファイナンシャル・アドバイザーのサービスを受ける者も多い。
- テクノロジーと無縁ではないが、資産運用においてフィンテックを活用することには積極的ではない。
- 2008年以降の不動産バブル崩壊を受け、居住用不動産の所有にはこだわりが薄い。投資用不動産の保有には積極的。
ミレニアル(1979-1996生まれ、別名イノベーション世代)
- デジタルネイティブ、インターネットネイティブであり、変化に対して柔軟。情報リテラシーも高い。
- 資産形成については上の2つの世代よりも意識が高く、資産運用を始める年齢も早い。
- 資産形成においては401kも使うが、Wealthfront, Betterment, Acorn等のフィンテックサービスも利用する。
日本では?
米国での状況と似ている部分と似ていない部分がありそうです。
日本では年金など社会保障制度の改革が進まず、負担は次世代に先送りされています。このおかげで団塊の世代は、米国ベビーブーマー世代と同様に老後を年金に依存していますが、米国とちがってこの世代は逃げ切りが可能です。
団塊ジュニア(ジェネレーションX)は社会保障制度の持続可能性に疑問を持ち、自分たちの老後には年金では十分ではないと感じているのは米国と同じ。ですが、401kが浸透しておらず、フィナンシャルアドバイザーを用いた資産形成もできていない、という点で日本はアメリカの20年遅れを取っているのではないでしょうか。
Fintechを用いて、日本の団塊ジュニアやそれ以下の世代の資産形成に役立つサービスが提供されることを期待したいところです。
ゴールドマン・サックスがロボ・アドバイザーのHonest Dollarを買収
FTで、Goldman SachsがスタートアップのHonest Dollarを買収というニュースが報じられていました。
記事タイトルには「ロボ・アドバイザーのHonest Dollar」とありますが、Honest DollarはWealthfrontやBettermentのようになポートフォリオ作成して自動リバランスするいわゆるロボ・アドバイザーサービスとは異なるようです。Honest Dollarは中小企業向けに、従業員の退職金口座を低コストで作成・管理するサービスのようです。投資の中身はVanguard社のETF。
テキサス州オースティンが本社のHonest Dollar社は設立からわずか1年。ファウンダーのHurley氏は元ファンクバンドのベーシストという異色の経歴。その後アップルやIBMで働き、自分のデザイン事務所を立ち上げAccentureに売却したのち、Honest Dollarを創業したとのことです。
Honest Dollarのホームページはこちらです。
Honest Dollar - The Retirement Benefit That Benefits Everyone